東洋大学白山ラジオサークル「FAM」

こんにちは。東洋大学白山ラジオサークル「FAM」のBLOGです。

冬に読んだミステリのこと

こんばんはM藤です。めでたいことに今日最後の試験が無事終了しまして、つまり僕もう実質夏休みです、へへっ! …ああっ! 石を、石を投げないでください!

で、まあ夏ということで最悪に暑いですよね。僕に音楽の才能があったら夏にクリスマスソングを作曲するという洒落た方法で涼をとるんですけど、生憎もしももASIMOもなくピアノのひとつ弾けないので、まあ文学部らしく冬を舞台にした小説についての記事でも書いて涼しい気分になってみることにします。が、が、ゆっくり考えてみても冬が舞台の小説でさらっと紹介できそうなのがないー……。

そういうわけで苦肉の策として僕個人が去年の冬頃読んでた小説について書いてみることにしました。つまりこの小説読んでも俺以外全く涼しくなれない! じゃーん、本棚から引っ張り出してきた、『キャサリン・カーの終わりなき旅』。自分の記憶が正しければ去年のクリスマスにお茶の水丸善で買った本です。さすが文学部はクリスマスでも一人本屋に行ったりするわけですな。で、内容についてはこの本ミステリなんであんまり詳細書くとネタバレになっちゃうんですけど、いわゆるアームチェア・ディテクティブものです。探偵はずっと部屋でぼーっとしてて、助手が駆けずり回って集めてきた情報をもとにパパっと難事件を解決するってやつですね。

そういう感じで定番のジャンルではあるんですけど、この小説がちょっと変わってるのは探偵も助手も全くの素人っていうことです。探偵は早老病にかかっていて余命幾ばくも無いミステリ好きの少女で、助手を務めるのは数年前に息子を殺された新聞記者の中年男性、つまりはじめっから少女の死ぬまでの慰みのための探偵ごっこなんですね。僕はこういうのに結構弱い。もともとミステリはほとんど読まなくて、その理由は探偵や警察がいくら努力したり苦悩したりしていても、つまるところそれは彼らにとって仕事の一環でしかないんで全く感情移入できないから、なんですが、この小説みたいに一般人が探偵役やってると「なんでわざわざそんなことすんのかなー」と興味が湧いてくるんで物語に入り込みやすいんですよね。

そして肝心のストーリーの方なんですけど、びっくりするほど暗いのでざっくばらんにメインテーマについてだけ書きます。この小説は「犯罪に巻き込まれた後の人間」に焦点を当てて書かれたものです。自分自身や身内が殺されかけたり、実際に殺されてしまうと、人間っていうのは以前と同じようには生きられないんですね。世界というのはたくさんの危険をはらんでいるやばい場所だってことを身を持って知ってしまうわけです。犯人が捕まってない場合にはなおさら。で、そういう状態に陥ってしまった人間ってのは再起することができるのか、できるとしたらそれはどのような形で為されるのか…ってのがこの小説のテーマです。多分。気になる人は本屋で手に取ってみてください。文庫じゃないから結構高いけどね。

ひ、久しぶりにちょっとまじめなブログを書いた…。夏休みは地味に忙しくなりそうでアイデンティティ崩壊の危機なんですが、適当に予定ぶっちったりして暇人の立ち位置を保持したいと思います。それではまた来週。